先日9月4日、日本では実現が限りなく不可能だと思われていた市街地レース実施のための道路使用許可証を受け取りました。道路使用許可証の画像をTwitterに発信したところ、予想以上に大きな反響がありました。
「これでひと安心。あとは当日を迎えるだけ。」と思いきや、実はまだ大きなミッションが残っています。
それは、「コース設営」と「コース撤去」です。
海外で行われている市街地レースは、レース当日の1週間ほど前からコース設営の準備が始まります。
しかし、今回私たちが道路使用許可で与えられた時間は「6時間」。
20日(日)の午前9時から午後3時までの6時間です。
一部、大会前日の18時から歩道への仮設置を許可された場所はありますが、日本初の市街地レースは、この6時間という限られた時間の中で、コース設営からレース、完全撤去まで全てを行わなければなりません。

コース設営に使用するのは、「GoTrackBarriers」という安全防護帯(衝撃吸収バリア)です。イタリア製のこのバリアは、世界中のカートコースで使用されています。
イタリアから輸入したときには、バラバラのパーツでしたので、まずはこれを組み立てることはじめました。8月の某日。炎天下の中、組立作業に集まった約20名で、集中して作業しました。




今大会で使用する使用するバリアの総数は約1620個、270セットです。

江津市街地コースは全長783m。その全長の両側にGoTrackを設置します。

1個のバリアは12㎏。
それが専用ベルトで6個1セットに連結されていますので、総重量は約72㎏にものぼります。長時間の作業を考えて6人チームで1セットを運ぶ計画にしました。
大会当日の設営は、9時~11時の2時間で行われます。撤去は13時半~15時の1時間半です。
バリアは、単にコース沿道に“置けばいい”という訳ではありません。6個のバリアを連結するベルトをしっか締め、更にそのバリア同士を結合させます。素人ではなかなか難しい上に、それを数百か所、短時間で結合するという大変な作業です。

この重労働かつ難しいコース設営を制限時間内に完成させ、JAFカートコース安全基準に準じたコースを作ることができなければ、私たちは当日にレースを行うことができないのです。
この難関なミッションに、約150名の地元ボランティアが挑みます。
9月初旬。
まだまだ暑い日差しが降り注ぐ中、コース設営・撤去研修を3日間かけて行いました。地元の建設業の方々から、一般の方、近隣の学校に通う学生さんまで、多くのボランティアが参加してくれました。



レースを無事終了することができたら、次は撤去です。
撤去は、10tトラック11台とボランティア150名で一斉にコースを片付けます。15:00の交通規制解除時には、道路は何事もなかったようにもとの状態に戻っています。

市街地レースという大きなイベントは、1人で実現することはできません。しかし、100人がいるからといってできるものでもありません。集まったボランティア150人のひとりひとりが、市街地レースを実現するという思いを持ち、心を一つにしてミッションに挑むことで初めて実現できます。
これがまさに今までにない新しいことへの挑戦。個人では実現できない高い壁を大勢の力で乗り越えていく、私たちの当日の「もう1つのミッション・インポッシブル」を皆様ぜひ応援してください。