2020年9月20日、島根県江津市。日本で初めて、公道を使ったJAF公認の市街地レース「A1市街地グランプリ GOTSU2020」が行われました。
このとき、レースと並んでもう一つの挑戦が進んでいました。
いつもの道路をレースコースに変え、レースを終え、そして、まちを元の姿に返す。「設営」と「撤去」です。
一日で、すべてを終える
海外の市街地レースでは、数日から一週間ほどをかけてコースを設営することが一般的です。
私たちが江津で選んだのは、当日のうちにすべてを完了させる方式でした。
朝、いつもの道路にコースをつくる。昼、レースを行う。そして夕方、何事もなかったように道路を返す。
まちの暮らしを止める時間を、できるかぎり短くする。市街地レースは、まちの日常をお借りして成り立つものだからです。この考え方は、いまも私たちの運営の基本にあります。
783メートルの両側に、安全を敷きつめる
江津市街地コースの全長は783メートル。その両側に、世界各地のカートコースで用いられている衝撃吸収バリアを設置しました。設置距離は、合わせて約1.6キロメートルにおよびます。
バリアは、道路脇に並べれば終わりというものではありません。一つひとつを確実に連結し、JAFのカートコース安全基準に適合したコースとして成立させて、はじめてレースを行うことができます。
この作業を、限られた時間の中で、確実にやり遂げる。それが「もう一つのミッション」でした。
本番の前に、何度も本番をやった
夏の江津。炎天下の中、バリアの組み立て作業に人が集まりました。





9月に入ると、設営と撤去の研修を三日間にわたって実施しました。地元の建設業に携わる方から、一般の方、近隣の学校に通う学生さんまで、多くの方が参加してくださいました。



初めて触れる資材を、初めて会う人たちと、時間内に組み上げる。本番でそれを成立させるために、私たちは本番前に何度も本番を繰り返しました。
「何事もなかったように」まで含めて、市街地レース
レースが終われば、次は撤去です。
大勢の手が一斉に動き、コースは急速に解かれていきました。
交通規制が解除されるころ、そこにあったのは、いつもと変わらない江津の道路でした。
GOTSU2020は、約250名のボランティアに支えられた大会です。
重大な事故は0件。沿道の皆さまからのお声も、大きな問題となるものはありませんでした。
大勢でしか越えられない壁がある
市街地レースは、一人では実現できません。かといって、人が集まりさえすれば実現するものでもありません。
その日集まった一人ひとりが、「まちの道でレースをやる」という同じ絵を思い描き、心を一つにして動いたからこそ、成立しました。
個人では越えられない高さの壁を、大勢の力で越えていく。それが、私たちがGOTSU2020で経験した「もう一つのミッション・インポッシブル」でした。
そして、2026年12月13日
2026年12月13日(日)、江津のまちで、2回目の市街地レース「A1市街地グランプリ GOTSU2026」を開催します。舞台は、江津市の市街地特設コース。
日本初を成し遂げた江津のカートレースが、いま、第2章に向かって準備を進めています。
※本記事は2020年9月に公開した記事を、2026年に一部加筆・再編集したものです。





